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フランシスコ・ザビエルからの手紙(3)

 ここに紹介する手紙から、ザビエルが宣教する際に見いだしていた、日本人の宗教性・道徳観をうかがい知ることができます。

「〔日本人は〕宣誓はほとんどしません。そして宣誓する時は、太陽に向かってします。大部分の人は読み書きができますので、祈りや教理を短時間に学ぶのにたいそう役立ちます。彼らは一人の妻しか持ちません。この地方では盗人は少なく、また盗人を見つけると非常に厳しく罰し、誰でも死刑にします。盗みの悪習をたいへん憎んでいます。彼らはたいへん善良な人びとで、社交性があり、また知識欲はきわめて旺盛です。
 彼らはたいへん喜んで神のことを聞きます。特にそれを理解した時には、たいへんな喜びようです。過去の生活においていろいろな地方を見てきた限りでは、それがキリスト教信者の地方であっても、そうでない地方であっても、盗みについてこれほどまでに節操のある人びとを見たことがありません。
 彼らは獣の像をした偶像を拝みません。大部分の人たちは大昔の人を信仰しています。私が理解しているところでは、哲学者のように生活した人びと(釈迦や阿弥陀)です。彼らの多くは太陽を拝み(日本古来の神道)、他の人たちは月(須佐之男命)を拝みます。
 彼らは道理にかなったことを聞くのを喜びます。彼らのうちで行なわれている悪習や罪について、理由を挙げてそれが悪であることを示しますと、道理にかなったことをすべきであると考えます。」

(特集-聖フランシスコ・ザビエル 3 2006/3/24)

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